休職したら給料とボーナスはどうなる? 最初の給料日までのお金の話
休職することになったとき、まず頭をよぎるのは「来月の給料日、お金は振り込まれるんだろうか」ということではないでしょうか。
体調がつらいのに、お金の心配まで重なる。ボーナス月が近ければ、それも気になる。でも、こんなときに会社に「給料はどうなりますか」なんて聞きづらい——。そんな状態で、夜中にスマホで検索している方もいるのではないかと思います。
私は人事に近い立場で、休職される方の手続きに関わることがありました。休職の連絡を受けたとき、ご本人がいちばん不安そうにしていたのは、体調のことと同じくらい、お金のことだったように思います。
この記事では、その経験をもとに、休職したら給料やボーナスはどうなるのか、社会保険料はどうなるのか、使える制度はあるのか——最初の給料日までに知っておきたいお金の話を整理してみます。
制度の細かい説明よりも、「まず何がどうなるのか」の見通しが持てることを大事にして書きました。少しでも不安が軽くなれば、うれしいです。
この記事でわかること
- 休職中の給料は出るのか、出ないのか
- 給料が止まっても社会保険料の支払いは続くこと
- ボーナスはどうなるか(会社によって違う部分)
- 給料が出ないときに使える制度(傷病手当金)があること
- 傷病手当金が届くまでのタイムラグと、その間のこと
- 休職中のお金で見落としやすいポイント
休職中、給料は出るのか
いちばん気になるところだと思います。
正直にお伝えすると、休職中に給料を払う法的な義務は、会社にはありません。「ノーワーク・ノーペイ」という考え方があり、働いていない期間の給料は支払わなくてよい、というのが原則です。多くの会社では、休職中は無給になります。
これを聞いて「えっ」と思われるかもしれません。でも、ここであきらめないでほしいのです。
会社によっては就業規則で「休職中も一定期間は給与の一部を支給する」と定めているところもありますし、何より給料が止まったときに使える制度がちゃんとあります(この記事の後半で詳しく触れます)。
私が実務で見てきた中で気になっていたのは、きちんと申請をした方は手当を受け取れていたのに、制度を知らないまま何も申請せず、欠勤扱いのままになっていた方もいたということです。同じように休んでいても、制度を知っているかどうかで、お金の状況がまるで違ってくる。それを何度も見てきたからこそ、この記事を書いておきたいと思いました。
給料が止まっても、引かれるお金は止まらない
ここは、多くの方が見落としやすいところだと私は感じています。
休職中であっても、会社に在籍している限り、健康保険料と厚生年金保険料は毎月かかります。ふだんは給料から天引きされているので、支払っている実感がないかもしれません。でも、給料がゼロの月は天引きのしようがありません。
そうなると、会社から「社会保険料のご本人負担分を振り込んでください」という連絡が届きます。
私も人事の立場で、休職中の方にこの振込依頼の連絡をしたことがあります。体調が悪いときに「お金を振り込んでください」と言われるのは、気持ちの面でもつらいだろうなと思いながら連絡していました。金額は毎月の給与明細に載っている「健康保険料」と「厚生年金保険料」の本人負担分の合計です。
驚かれる方もいましたが、これは珍しいことではなく、休職中は多くの会社でこの流れになります。「そういうものなんだ」と知っておくだけで、連絡が来たときの気持ちの負担がだいぶ違うのではないかと思います。
ちなみに、産休・育休には社会保険料の免除制度がありますが、病気やケガによる休職には、残念ながらこの免除制度はありません。ここは制度の谷間というか、知ると「えっ、そうなの」と感じる方が多いところです。
👉 あわせて読みたい:社会保険料が急に増えた・減ったのはなぜ?標準報酬月額の仕組みを人事目線で整理してみた
休職中のボーナスはどうなるか
ボーナス月が近い方にとっては、ここも切実な問題だと思います。
ただ、ボーナスについては正直なところ、会社ごとにルールがまったく違います。私が見てきた範囲でも、在籍していればゼロにはならないケースもあれば、休職期間の長さによって大きく減額されるケースもありました。
ボーナス(賞与)は法律で支払いが義務づけられているものではなく、金額や支給条件は会社の就業規則や賃金規程で決められています。よくあるパターンとしては、こんなものがあります。
- 査定期間中の出勤率で減額される(休職期間が長いほど減る)
- 支給日に在籍していれば支給対象になるが、金額は査定で決まる
- 休職中は支給対象外
「結局いくらもらえるんだろう」と気になると思いますが、これだけはご自身の会社の規定を見ないとわかりません。就業規則の「賞与」の項目に「査定期間中の出勤率が◯%以上」といった条件が書かれていることが多いです。
体調が落ち着いているタイミングで、人事や総務にそっと聞いてみるのもひとつの方法だと思います。聞くこと自体は、まったく悪いことではありません。
給料が止まっても、支えてくれる制度がある
ここまで読んで、「給料は出ない、社保料は取られる、ボーナスも減るかもしれない——どうすればいいの」と感じた方もいるかもしれません。
でも、給料が止まったときに代わりに生活を支えてくれる制度があります。それが傷病手当金です。
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員が、病気やケガで働けなくなったときに受け取れる給付です。ざっくり言うと、ふだんの給料のおよそ3分の2にあたる金額が、最長で1年6か月間支給されます。
私がいちばんお伝えしたいのは、「病気の種類」は問われないということです。メンタル不調(うつ病、適応障害など)でも対象になります。「自分のケースは該当しないのでは」と思い込んで申請しない方がいましたが、それはとてももったいないことだと私は感じていました。
もうひとつ大事なことがあります。傷病手当金は自動的にもらえるわけではなく、自分から申請しないと受け取れません。私が見てきた中でも、制度の存在を知らないまま申請していなかった方がいました。この記事を読んでくださっている方には、ぜひ知っておいてほしいと思います。
傷病手当金の条件・金額・申請方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。
👉 あわせて読みたい:傷病手当金とは?会社を休んでももらえるお金の条件・金額・申請を整理
傷病手当金が届くまでの「空白期間」のこと
傷病手当金の存在を知って少し安心された方に、ひとつだけ正直にお伝えしておきたいことがあります。申請してからすぐにはお金が届かないということです。
初回の申請は、医師の証明書を添えた申請書が健康保険組合(または協会けんぽ)に届いてから審査が行われます。私の経験では、休み始めてから最初の振込まで、おおむね1か月半〜2か月くらいかかることが多かったです。加入している健保組合によって審査のスピードが異なるので、もう少し早い場合も、もう少しかかる場合もありました。
2回目以降は審査がスムーズになって、申請からおよそ2週間で届くことが多いです。
つまり、最初の1〜2か月間は「給料もない・傷病手当金もまだ届かない」という空白期間が生まれる可能性があります。
この空白期間のことを事前に知っているかどうかで、心の持ちようがまったく変わると私は思っています。「なぜまだ届かないんだろう」と不安になるのと、「そういうものだと聞いていたから」と構えているのとでは、体調への影響も違うのではないでしょうか。
もし貯蓄に余裕がない場合は、生活費の見直しや、家族への早めの相談を考えてみてください。ひとりで抱え込まないことが、いちばん大事だと思います。
休職中のお金で、もうひとつ知っておきたいこと
ここまでで大きな話はお伝えしましたが、見落としやすいポイントがいくつかあります。頭の片隅に置いておくだけで、あとで「知らなかった」と焦ることが減ると思います。
住民税もストップしない
住民税は前年の所得をもとに計算されています。休職して今年の収入がなくなっても、今年度の住民税は変わりません。給料が出ない月は、社会保険料と同じく別途支払いが必要になることがあります。
有給休暇を先に使うか、すぐ休職に入るか
体調を崩したとき、「まず有給を使い切ってから休職に入る」という流れになることが多いです。有給休暇中は給料が出るので、傷病手当金の空白期間を短くできるメリットがあります。
ただし、有給を使い切ると退職時に残日数がゼロになるという面もあります。正解はひとつではないので、可能であれば人事や総務に相談してみてください。
休職が長引いたら確定申告が必要になることも
年末時点でも休職中であれば、年末調整を受けられないことがあります。その場合は、翌年に自分で確定申告をすることになります。医療費が多かった年は医療費控除も使えるので、源泉徴収票と医療費の領収書は捨てずに取っておくと安心です。
まとめ
最後に、この記事でお伝えしたことを整理します。
- 休職中に給料を払う法的義務は会社にはない。多くの会社では無給になる
- 給料が止まっても、社会保険料・住民税の支払いは続く。会社から振込依頼が届くが、珍しいことではない
- ボーナスは会社の規定次第。就業規則の「賞与」の項目を確認してみる
- 給料が出ないときは傷病手当金が使える(給料の約2/3・最長1年6か月・メンタル不調も対象)
- ただし自分から申請しないともらえない。知らずに申請していない人もいる
- 最初の振込まで1か月半〜2か月の空白期間がある。この期間を知っておくだけで、不安の質が変わる
- わからないことは、人事や総務にそっと聞いてみていい。聞くことは、悪いことではない
いまは体調を整えることがいちばん大事です。お金のことは、この記事で見通しが少しでもつかめたなら、あとは必要なときにまた見返してもらえれば大丈夫です。
よくある質問(FAQ)
Q. 休職中に給料は出ますか?
A. 法律上、会社に支払い義務はなく、多くの会社では無給になります。ただし一部の会社では就業規則で一定期間の給与補償を設けているところもあります。まずはご自身の会社の就業規則を確認してみてください。
Q. 休職したらボーナスはもらえませんか?
A. 会社の規定によります。支給日に在籍していれば対象になるケースもあれば、査定期間中の出勤率が条件になっているケースもあります。就業規則の「賞与」の項目を確認するか、人事・総務に聞いてみるのが確実です。私が見てきた範囲でも、会社によって対応はさまざまでした。
Q. 休職中の社会保険料はどうなりますか?
A. 休職中も在籍している限り、健康保険料・厚生年金保険料は毎月かかります。給料が出ない月は天引きができないため、会社から振込依頼の連絡が届くのが一般的です。産休・育休には免除制度がありますが、病気やケガによる休職には免除制度はありません。
Q. 傷病手当金はいつ届きますか?
A. 私の経験では、休み始めてから初回の振込まで1か月半〜2か月くらいかかることが多かったです。2回目以降は審査がスムーズになり、約2週間が目安です。加入している健保組合によって前後がありますので、気になる場合は健保に問い合わせてみてください。
Q. メンタル不調(うつ・適応障害)でも傷病手当金はもらえますか?
A. もらえます。傷病手当金は病気の種類を問いません。メンタル不調も対象です。医師の証明があれば申請できます。「自分は該当しないのでは」と思い込んで申請しない方もいましたが、まずは確認してみてほしいと私は思います。
参考にした公式情報
※この記事は、人事に近い立場で休職される方の手続きに関わった経験と、公的機関の一般的な情報をもとに整理したものです。給与・賞与の扱いや社内制度は会社によって異なります。記事の内容はあくまでひとつの参考としてお読みください。個別の判断に迷うときは、お勤め先の人事・総務、または社会保険労務士等の専門家にご相談ください。最新の制度情報は公式サイトでご確認ください。
学びはマネから。

