応募したい求人は見つかった。でも履歴書の職歴欄を書き始めたところで、手が止まる。「この回数、多いと思われないだろうか」「書類の時点で落とされるのではないか」——そんな不安で、応募のボタンを押せずにいませんか?

先にお伝えしたいことが2つあります。ひとつ、「何回以上で不採用」という基準は、公的にも、私が見てきた採用の現場にも存在しませんでした。ふたつ、実際に見られていたのは回数そのものではなく、一社ごとの在籍期間と、辞めた理由です。

ただ、きれいごとだけを書くつもりはありません。転職回数を気にする面接官がいるのも事実です。だからこそ、「何を見られているのか」を先に知っておけば、準備のしようがあります。

この記事では、採用や面接に関わってきた経験から、採用側が履歴書のどこを見ているのか、面接で実際に聞かれること、そして面接官が本当に確かめている2つのことを順番に整理します。

まねぶ
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回数を数えて落ち込むより、「どこを見られているか」を知るほうがずっと近道です。一緒に整理していきましょう。

結論 転職回数より「一社ごとの在籍期間」と「辞めた理由」を見ていました

はじめに結論です。私が採用や面接に関わってきた範囲で、転職回数の欄を数えて合否を決めたことはありません。代わりに見ていたのは、次の2つでした。

採用側が見ていたのは、転職回数の多さではなく、一社ごとの在籍期間(何年ずつ働いてきたか)と辞めた理由(なぜ辞めたのか、一社ずつ)の2つ

① 一社ごとの在籍期間。回数が5回でも、それぞれ3年ずつ働いていれば、気になることはほとんどありませんでした。逆に、在籍期間のほとんどが1年未満という状態で回数が重なっている場合は、正直なところ、選考で不利になる確率は上がっていたと感じています。

② 辞めた理由。在籍期間にばらつきがあるときは、一社ごとに退職理由を確認していました。理由が納得できるものであれば、期間の短さそのものが決定打になることはありません。

つまり、回数は「気になるきっかけ」ではあっても、判断そのものではないということです。同じ回数でも、中身の説明ができるかどうかで受け取られ方は大きく変わります。

転職回数は何回から多い? 「3回まで」のような基準はありません

「転職は3回まで」「20代なら2回まで」——検索するとこうした数字が並びますが、公的な基準はどこにも存在しません。国が出している統計にも「何回以上は不利」といった線引きはなく、採用の場面でも、私が知る限り「◯回以上は書類で落とす」という社内ルールはありませんでした。

ただし、感覚として「多いな」と感じる瞬間はありました。それは回数を数えたときではなく、履歴書の職務経歴欄が2枚にわたったときです。1枚に収まらないほど社名が並ぶと、目を通した時点で「多い」という印象が先に立ちます。

これは基準ではなく、あくまで見た目の印象です。それでも読者のみなさんにとっては、自分の手元で確認できる目安になるはずです。もし2枚にわたっているなら、そのぶん「一社ごとの説明」を用意しておく——それだけで準備の優先順位が決まります。

もうひとつ、正直に書いておきます。転職回数を気にする面接官は、実際にいます。会社の方針というより、その人の価値観によるところが大きい部分です。ここは変えられません。だからこそ、こちらでできる準備をしておく意味があります。

採用側は履歴書・職務経歴書のどこを見ているのか

書類の段階で見ていたのは、大きく3つです。

① 一社ごとの在籍期間。前の項目のとおり、ここが中心です。「長く続いた会社が一社でもあるか」も、あわせて見ていました。

② 職歴に書かれていない期間。退職から次の入社まで空いている期間があれば、面接で確認するようにしていました。ただしこれは「怪しい」という意味ではなく、単純に何をしていた時期なのか分からないから聞く、というだけのことです。

③ どれだけ丁寧に書かれているか。ここが、意外と大きい部分です。退職理由、志望動機、希望条件。どこかで見たようなテンプレートの文章ではなく、自分の言葉で具体的に書かれている履歴書は、それだけで熱意が伝わります。

職歴そのものは、もう変えられません。けれど書き方は今日から変えられます。この差は、思っている以上に効きます。

なお、これは字のきれい・きたないの話ではありません。字が上手でなくても、しっかり伝えようとしているかどうかは、文字を見れば伝わってきます。丁寧に書かれた履歴書は、それだけで「この人はきちんと向き合ってくれている」という印象につながっていました。

面接で聞かれるのは転職回数ではなく、1社ごとのことです

面接と聞くと、「転職が多いですね」と切り出されて責められる場面を想像してしまうかもしれません。でも実際には、回数の多い・少ないを正面から質問することは、あまりありませんでした

代わりに聞くのは、1社ごとの事実確認です。

  • いつ入社したか(入社・退社の時期)
  • 雇用形態(正社員か、契約か、派遣かなど)
  • どんな仕事をしていたか
  • なぜ辞めたのか
  • 職歴に書かれていない期間があれば、その間に何をしていたか
面接で1社ごとに聞かれる5つ。いつ入社していつ辞めたか、雇用形態、どんな仕事をしていたか、なぜ辞めたのか、職歴が空いている期間は何をしていたか

これを、会社の数だけ順番に確認していく。それだけです。責めるための質問ではなく、その人の歩みを知るための質問だと考えてください。

裏を返せば、準備しておきたいのはこの5つということでもあります。回数への言い訳を考えるより、1社ごとにこの5つを短く話せるようにしておくほうが、はるかに実戦的です。

面接官が確かめたいのは「経験」と「同じ理由で辞めないか」

では、その事実確認を通して何を判断しているのか。突きつめると、次の2つでした。

① これまでの経験が、自社で活かせるか

雇用形態ごとにどんな仕事をしてきたのかを聞くのは、ここを知るためです。社名や在籍年数そのものより、中で何をしてきた人なのかが知りたい。だから仕事内容は、できるだけ具体的に話せるようにしておくと伝わります。

② 入社しても、同じ理由で辞めてしまわないか

辞めた理由を一社ごとに聞くのは、ここを見ているからです。過去を責めたいのではなく、その理由が自社でも起きうるかどうかを確かめている。採用する側にとって、これがいちばん現実的な心配ごとです。

この2つは、厚生労働省が示している採用選考の基本とも重なります。採用選考は応募者の適性と能力に基づいて行うのが原則とされていて、回数という数字そのものは、本来この「適性と能力」には含まれません。回数を数えるのではなく中身を確認する、というのは、実務としても筋の通った進め方だったのだと思います。

まねぶ
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ここが分かると、面接の準備は「回数の言い訳を考える」から「この2つに答える準備をする」に変わります。

転職理由の説明で、印象が良かった人ともったいなかった人

同じような職歴でも、説明の仕方で受け取られ方はずいぶん変わりました。私が見てきた範囲で、よくあったパターンを挙げます。

印象が良かった説明

人生の出来事として説明できるときです。結婚、引っ越し、家族の介護——生活の変化にともなう転職であれば、回数が重なっていても気になりませんでした。さらに、退職から次の入社までのブランクが短いと、「その都度きちんと次を考えて動いてきた人だ」という印象につながっていました。

理由が仕事上のものであっても同じです。「この経験を積みたくて移った」と、次につながる形で説明できるなら、回数はほとんど問題になりません。

もったいなかった説明

① すべての退職理由が同じ

たとえそれが介護のような、それ自体は納得できる理由であっても、転職のすべてが同じ理由だと、聞いている側は信憑性を感じにくくなります。実際にはそれぞれ事情が違ったはずなので、一社ごとに、そのときの事情を分けて話すほうが自然に伝わります。

② 面接の場で、前の会社の不平不満を述べる

これは本当にもったいない伝え方です。事実として大変だったのだとしても、その場にいない相手を評する言葉は、聞いている側の記憶に強く残ってしまいます。

③ 相手の非を、強く語ってしまう

人間関係が理由だった場合に多いパターンです。ここは少していねいに書きます。

面接は短時間で、しかも面接官には、あなたの前の職場で何があったのかを確かめる手段がありません。だから、相手の非を強く語る形で話すと、内容の当否とは関係なく「うちに入ってからも同じことが起きるかもしれない」と受け取られやすくなります。あなたの行動が悪いという話ではなく、限られた時間での伝わり方の問題です。

だから私なら、事実は事実として短く伝え、そのうえで「次はこう働きたい」につなげるという形にします。たとえば「人間関係で悩んだ時期があり、その経験から、次はチームで進める仕事がしたいと考えています」といった具合に。

ひとつ、はっきり書いておきます。ハラスメントなど、我慢しなくていい理由で辞めた場合は、事実を伏せる必要はまったくありません。淡々と事実を伝えて、「だから次はこういう環境で働きたい」と続ければ十分です。声を上げたことや、自分を守るために離れたことを、後ろめたく思う必要はありません。

転職理由の説明の違い。伝わりやすい説明は、生活の変化をそのまま伝える・次に何をしたいかまでつなげる・事実は短くこれからの話を長めに。もったいない説明は、どの会社も辞めた理由が同じ・前の会社の不平不満を述べる・相手の非を強く語る

職歴は変えられないけれど、履歴書の書き方と面接での伝え方は変えられる

ここまで読んで、「結局、職歴が変えられないなら意味がない」と感じた方がいるかもしれません。でも私が伝えたいのは逆のことです。

職歴は変えられません。けれど、書き方と話し方は、今日から変えられます。そして採用側は、そこを見ています。丁寧に書かれた履歴書、一社ごとに整理された説明、次につながる言葉。これらはすべて、応募する側が自分で用意できるものです。

在職中に準備を進めることに不安がある方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

👉 あわせて読みたい:在職中の転職活動、会社にバレたらと不安なあなたへ。採用側にいた私が現実を整理しました

転職回数が多い人が、面接の前に準備しておく3ステップ

では、具体的に何を準備しておけばよいのか。私なら、この順番で整理します。

ステップ1:職歴を1社ずつ、1行で書き出す

紙でもスマホのメモでもかまいません。古い順に、1社1行で並べます。

  • 入社と退社の年月(在籍期間)
  • 雇用形態
  • どんな仕事をしていたか
  • 辞めた理由

面接で聞かれるのはこの並びです。書き出すと、自分の職歴の全体像が見えるようになります。「短期が続いているのは最初の2社だけで、直近は4年続いている」——そんなふうに、自分でも気づいていなかった強みが見つかることがあります。

ステップ2:辞めた理由を「事実」と「これから」に分ける

書き出した退職理由を、そのまま面接で言う必要はありません。起きた事実と、そこから次にどうしたいかの2つに分けてみてください。

面接で伝えるのは、この2つをつないだ形です。事実を短く、そして「だから次はこうしたい」を長めに。ここは前の記事でくわしく整理しているので、あわせて読んでみてください。

👉 あわせて読みたい:面接で退職理由はどう伝える? 採用側にいた私が実際に見ていたこと

ステップ3:空白期間の説明を用意する

職歴が途切れている期間があれば、そこは高い確率で質問されます。資格の勉強をしていた、家族の看病をしていた、体調を整えていた——理由が何であれ、隠さず短く言えるようにしておくだけで十分です。

聞く側は、責めたくて聞いているのではありません。分からない期間を、そのままにしておけないだけです。用意した一言があるかどうかで、その場の空気はずいぶん変わります。

面接前の3ステップ。1、職歴を1社ずつ1行で書き出す。2、辞めた理由を事実とこれからに分ける。3、職歴が空いている期間の説明を用意する

転職は珍しくなくなった。だから、見られる場所が変わった

最後に、少し全体の話を。

総務省の労働力調査によると、2025年に転職した人は330万人。さらに、転職や追加の仕事を希望している人は1,023万人にのぼります。1,000万人以上が「転職」を考えている計算です。職歴欄を前に手が止まっているのは、あなただけではありません。

採用の現場にいても、転職が当たり前になってきたという実感があります。一社で勤め上げることが良いことだ、というイメージは、確実に薄れつつあります

ただ、それは「何も見られなくなった」という意味ではありません。むしろ逆で、回数で判断できなくなったぶん、一社ごとの在籍期間や辞めた理由、空白期間の説明といった「中身」の重みが増している、というのが私の実感です。

もし今、転職そのものを迷っている段階なら、まず自分の相場を知るところから始めるという方法もあります。

👉 あわせて読みたい:退職したいけど何から始める? 在職中にやっておくことと「自分の相場」の知り方

まとめ 転職回数は数えられていません。見られているのは中身です

この記事の要点です。

  • 「何回から不利」という基準は、公的にも社内にも存在しない。ただし職務経歴欄が2枚にわたると、印象として「多い」と感じられやすい
  • 見られているのは回数より、一社ごとの在籍期間と、辞めた理由
  • 面接で聞かれるのは1社ごとの入社時期・雇用形態・仕事内容・退職理由・空白期間
  • 面接官が確かめているのは、①経験が自社で活かせるか ②同じ理由で辞めてしまわないか の2つ
  • 職歴は変えられないが、履歴書の書き方と説明の仕方は今日から変えられる

そして、いちばんお伝えしたいこと。転職理由を聞かれたときに、他の人のせいにしない形で説明できるように準備しておくこと。ただし、嘘はつかないことです。面接官の中には、ちょっとした表情や仕草、言葉のつまりから察してしまう人も少なくありません。取りつくろった説明より、正直に整理された説明のほうが、結果的にずっと強いと感じてきました。

履歴書に並んだ社名は、あなたがその時々で考えて選んできた道のりです。数えて評価されるものではなく、一社ずつ、自分の言葉で説明できる材料。そう捉え直せたとき、職歴欄は「隠したいもの」から「準備するもの」に変わります。

冒頭で、職歴欄を前に手が止まる、と書きました。この記事を読み終えたいま、その手が少しでも動き出していたら嬉しいです。準備を整えたあなたの言葉は、きっと面接官にまっすぐ届きます。

まねぶ
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もしご自身が面接する立場だったら、その履歴書、その理由、その受け答えで「採用したい」と思うでしょうか。そこを考えて準備できた人は、回数に関係なく強いです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結局、何回くらいから「多い」と思われますか?

決まった回数はありません。私の感覚では、回数を数えるというより履歴書の職務経歴欄が2枚にわたったときに「多い」という印象が先に立ちました。ただしそれは印象であって、判断そのものではありません。一社ごとの在籍期間と理由が説明できれば、回数で決まることはほとんどありませんでした。

Q2. 短期間での退職が続いています。もう不利は避けられませんか?

在籍期間の短い転職が重なっている場合、選考で不利になる確率が上がるのは、正直なところ事実です。ただしそれは「説明がないまま並んでいる場合」の話です。一社ごとに事情が違うことを、それぞれの言葉で説明できるか。ここで受け取られ方は変わります。直近の会社で腰を据えて働いている実績があれば、それも十分な材料になります。

Q3. 職歴に空白期間があります。不利になりますか?

空白期間そのものが不利になるというより、説明がないまま不明な期間として残ることが避けたい状態です。面接ではほぼ確実に質問されるので、短く言える一言を用意しておけば大丈夫です。理由を細かく話す必要はありません。

Q4. 派遣や契約社員の職歴も、転職回数に数えられますか?

面接では雇用形態を1社ごとに確認しますが、それはどんな立場でどんな仕事をしてきたかを知るためです。契約期間の満了による退職は、自分の意思で辞めた転職とは事情が違います。履歴書にも「契約期間満了のため」と一言添えておくと、そのまま伝わりやすくなります。

Q5. 本当の退職理由が人間関係です。正直に言って大丈夫でしょうか?

言って大丈夫です。避けたいのは、正直に話すことではなく、その場にいない相手を責める形で話すことです。事実は短く伝えて、「だから次はこう働きたい」につなげてみてください。嘘でつくろった説明は、細かい部分を掘り下げられたときに苦しくなります。

参考にした公式情報

※この記事は、採用や面接に関わってきた経験をもとに一般的な考え方を整理したものです。選考の基準や進め方は会社によって大きく異なり、採用の結果を保証するものではありません。制度や統計の最新情報は、各公式サイトでご確認ください。


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