「入社半年なのに有給がない?」付与のルールと自分の日数の確認方法
入社して半年が過ぎた。「有給っていつからもらえるんだろう」「もう使えるはずなのに、何も言われない」——そんなモヤモヤを抱えている方は少なくないと思います。
私は人事に近い立場で、社員の勤怠や休暇の相談を受けることもありましたが、有給に関する問い合わせは本当に多かったです。
「私は何日もらえるんですか?」
「ちゃんと付与されてますか?」
こうした質問を何度も受けました。
正直なところ、付与日数は本社の給与計算部署に確認するか、給与明細を見てもらうしかなく、現場では即答できないことも多かったのが実情です。
つまり、有給のルールがわかりにくいのは、あなただけではありません。人事の現場でも「すぐにはお答えできない」ことがある——それくらい、会社ごとにルールが違うということです。
この記事では、有給の付与ルールを3つのステップで整理しました。順番に見ていきます。
有給の付与ルールは3ステップでわかる【全体像】
有給休暇のルールは、次の3つのステップで確認していくと迷いません。この記事も、この順番で進んでいきます。
- STEP 1|気づき ── 有給のルール、思っていたのと違うかも(付与の仕組みを知る)
- STEP 2|調べる ── 自分は何日もらえる?(付与日数と確認方法)
- STEP 3|やってみる ── 確認して、おかしければどうする(就業規則と相談先)
「いつもらえるのか」「何日もらえるのか」「どうやって確認するのか」。それでは、STEP 1から見ていきましょう。
有給休暇はいつからもらえる? 法律で決まっている付与のタイミング
有給休暇(年次有給休暇)は、法律で定められた働く人の権利です。
付与の条件は、労働基準法第39条でこう決まっています。
① 入社日から6ヶ月間、継続して勤務していること
② その期間の出勤率が8割以上であること
この2つを満たすと、10日間の有給休暇が付与されます。

ここで大事なポイントが2つあります。
「6ヶ月」は入社日が起点
4月1日に入社したなら、10月1日が最初の付与日。「年度の始まり(4月)」ではなく、あくまで入社日から数えます。
正社員だけでなく、パート・アルバイトも対象
雇用形態は関係ありません。パート、アルバイト、契約社員——雇用保険に入っているかどうかにも関係なく、条件を満たせば有給は発生します。
「入社したばかりだから有給はない」と思っている方は多いと思います。でも実は、法律上は6ヶ月で必ず発生するもの。入社直後に「まだありません」と言われた場合、6ヶ月経過前であればそれ自体はおかしくありません。
会社によって「前倒し付与」があることも
法律上は「入社6ヶ月後に10日」が基本ルール。でも、会社によってはこれと違う運用をしているところもあります。
たとえば、入社直後に数日の有給を付与する会社。私が働いてきた職場にも、この仕組みがありました。法定の6ヶ月を待たずに、入社日から数日分の有給が使える制度です。
これは「法定以上の付与」で、会社の裁量で決められるもの。就業規則に定められています。
もうひとつ知っておきたいのが、付与のタイミングの違いです。
- 入社日基準:入社日から6ヶ月後に付与(法定通り)
- 一斉付与日:会社が決めた日(例:毎年4月1日)に全員一斉に付与
一斉付与の会社では、入社時期によって最初の付与までの期間が変わることがあります。
だから「いつもらえるか」は、法律だけではわからない。自分の会社の就業規則を見ないと、正確な付与日はわからないということです。
有給の付与日数は何日? 勤続年数と出勤率で変わる仕組み
正社員(フルタイム勤務)の場合、有給の付与日数は勤続年数に応じて増えていきます。
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
最初の6ヶ月で10日からスタートし、6年6ヶ月以上で上限の20日。長く勤めるほど日数が増える仕組みです。

ただし、毎年自動的に増えるわけではありません。付与の条件に出勤率8割以上があります。
出勤率の計算方法:
出勤率 = 出勤日数 ÷ 所定労働日数
なお、以下の日は「出勤した」としてカウントされます。
- 有給休暇を取得した日
- 産前・産後休業の期間
- 育児休業の期間
- 労災による休業期間
私が携わってきた現場でも、出勤率による付与日数の変動は実際にありました。ただ、普通に勤務していれば8割を下回ることはほぼありません。長期の欠勤が続いた場合に影響する話です。
パート・アルバイトの有給は何日? 比例付与の仕組み
「パートだから有給はない」——これは誤解です。パートやアルバイトでも、法律上、有給休暇の権利はあります。
ただし、週の所定労働日数が少ない場合は「比例付与」といって、フルタイムより少ない日数になります。
パート・アルバイトの比例付与日数(週所定労働日数別):
| 週の所定労働日数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
週5日以上、または週30時間以上勤務のパートは、フルタイムと同じ日数が付与されます。
ここが混乱しやすいところです。私が携わってきた現場で最も多かった問い合わせが、パート社員からの「わたしの場合は何日ですか?」でした。
週の契約日数によって付与日数が変わるため、人事でも一人ひとり個別に確認が必要になります。「パートは一律○日」とはならない。だから即答が難しかったのです。
自分の有給日数を確認する方法
「自分の有給が何日残っているか」を確認する方法は、主に3つあります。
1. 給与明細を見る
多くの会社では、給与明細に有給の残日数が記載されています。まずはここを確認するのが一番手軽です。
2. 勤怠管理システムを確認する
Web打刻やアプリで勤怠を管理している会社なら、ログインして残日数を確認できることがあります。
3. 人事・総務部門に聞く
上の2つで確認できない場合は、人事や総務に直接聞く方法があります。

私が人事に近い立場で相談を受けてきたなかで、付与日数を即答できないことは正直多かったです。本社の給与計算部署に確認するか、「給与明細で確認してください」とお伝えするのが確実な対応でした。
有給を使い切っている方からは「今月付与されるはずなんですが、何日付与されますか?」という質問もよくありました。こうした場合も、給与明細に反映されるまで正確な日数がわからないことがあります。
「確認しても載っていない」「聞いてもはっきりした答えが返ってこなかった」——そんなときは、次のSTEP 3で紹介する方法を試してみてください。
就業規則で有給のルールを確認する。おかしいと思ったら
給与明細や人事への確認で解決しなかった場合、就業規則を確認するのが次のステップです。
就業規則には、有給休暇に関するルールが必ず記載されています。確認するポイントは以下の3つ。
- 「年次有給休暇」の項目を探す
- 付与日(いつ付与されるか)
- 付与日数と取得手続き(申請方法など)
就業規則がどこにあるかわからない場合は、人事や総務に聞いてください。会社には従業員に就業規則を周知する義務があります。
就業規則を見ると、法定のルールとは別に会社独自のルールが書かれていることもあります。
- 前倒し付与(入社直後に数日付与)
- 一斉付与日(毎年○月○日に全員一斉付与)
- 失効年休制度(時効で消えた有給を特定の事由で使える制度)
こうした独自の仕組みは、就業規則を読まないとわかりません。
「おかしい」と感じたら
「6ヶ月経ったのに有給が付与されていない」「パートだから有給はないと言われた」——こうしたケースは、法律上はおかしい可能性があります。
その場合の相談先は2つ。
① まずは人事・総務部門に確認する
ルールを知らなかっただけ、確認の方法がわかっていなかっただけ、というケースがほとんどです。私の経験でも、就業規則を一緒に確認することで解決したことが多くありました。
② それでも解決しない場合は、労働基準監督署に相談できる
労働基準監督署では、有給休暇に関する相談を受け付けています。匿名での相談も可能です。
ただ、いきなり外部に相談するよりも、まず社内で確認するほうが穏やかに解決しやすいと思います。
まとめ:有給は「知っていること」で守れる
有給休暇は、法律で決まった働く人の権利。正社員もパートも関係ありません。
ただ、付与のタイミングや日数は会社によって違う部分もある。だからこそ、就業規則の確認が大切です。
「わからない」のは恥ずかしいことではありません。人事の現場でも即答できないことがあるくらい、有給のルールは会社ごとに細かく違います。
まず自分の給与明細で残日数を見てみてください。それだけで「今の自分の有給」がわかります。
ちなみに、2019年4月からは、年10日以上の有給が付与される従業員に対して、会社が年5日を取得させることが義務になりました。取らせないのは法律違反です。せっかくの権利を知らないまま失効させるのは、もったいないことだと思います。
👉 あわせて読みたい:有給の理由に嘘は必要? 言う義務と、申請を断られたときの対処まで人事目線で整理
よくある質問(FAQ)
Q1. 試用期間中でも有給はもらえる?
試用期間であっても、入社日からの勤続年数は通算されます。6ヶ月経てば付与されます(出勤率8割以上の場合)。「試用期間だから有給はない」ということはありません。
Q2. 有給の繰り越しはできる?
使わなかった有給は翌年に繰り越せます。ただし、発生から2年で時効により失効します。今年の分は来年まで持ち越せますが、再来年には消えるということです。
Q3. 入社してすぐ有給を使いたい。可能?
法定では入社6ヶ月後に付与されるため、それ以前は法律上の有給はありません。ただし、会社によっては入社直後に数日付与しているケースもあります。就業規則を確認してみてください。
Q4. 有給の取得を会社が拒否することはできる?
原則として、会社は有給の取得を拒否できません。ただし、業務の正常な運営を妨げる場合に限り、取得時季を変更する「時季変更権」があります。「取らせない」のではなく「時期をずらす」権利です。
Q5. 年5日の有給を取らないとどうなる?
2019年4月から、年10日以上の有給が付与される従業員に対して、会社は年5日を取得させる義務があります。違反した場合は会社に罰則(30万円以下の罰金)が科される可能性があります。
参考にした公式情報
※この記事は、人事に近い立場での経験をもとにした個人の整理です。有給休暇の付与ルールは会社の就業規則によって異なる場合があります。正確な情報は勤務先の就業規則や人事部門、または労働基準監督署にご確認ください。
学びはマネから。

