在職中の転職活動、会社にバレたらと不安なあなたへ。採用側にいた私が現実を整理しました
「在職中に転職活動をして、もし会社にバレたら——」。
次の仕事を探し始めたとき、多くの人が最初につまずくのがこの不安ですよね。求人を見るだけでドキドキする。応募ボタンを押す指が止まる。
そして、その不安の正体をよくよく考えてみると、こういうことではないでしょうか。
> 「うちの会社、就業規則で在職中の転職活動を禁止していた気がする。バレたら規則違反で、最悪なにか処分されるかもしれない」
実際、会社によっては就業規則にそうした一文を置いているところもあります。だから、不安になるのは当然なんです。決して、あなたの気が小さいわけではありません。
私はこれまで、人事に近い立場で、採用や面接にも関わる仕事をしてきました。その立場から正直にお伝えすると、在職中の転職活動が事前に会社にバレて、問題になった——という場面に、私はほとんど出会ったことがありません。たいていは、本人が退職を申し出る面談の席で「実は転職することになりまして」と聞かされて、はじめて知る。それが現場の実際です。
この記事では、「規則で禁止されていたら処分されるの?」という不安に正面から向き合いつつ、会社が「気づく経路」のよくあるパターンと、本当に気をつけるべき3つのことを、煽らずに整理します。読み終わるころには、「なんだ、ここさえ押さえれば堂々と準備していいんだ」と、少し肩の力が抜けるはずです。
この記事でわかること
- 在職中の転職活動は、法律や就業規則で「禁止」されているのか
- 採用側から見て、会社は在職中の活動に「気づいているのか」(実際のところ)
- 会社が気づくとしたら、どんな経路からか(よくあるパターン)
- 本当に気をつけるべき、たった3つの線引き(勤務時間・会社の設備・機密情報)
- 在職中の有給休暇は使っていいのか/理由を聞かれないか
- よくある質問(FAQ)
まず結論:押さえるべきは「3つの線引き」だけ
細かい話に入る前に、いちばん大事なところを先にまとめます。
- 在職中に次の仕事を探すこと自体を、“法律”が禁じているわけではありません。 一方で、就業規則で制限している会社は実際にあります。だから「規則違反になるのでは」と不安になるのは、もっともなことです。
- ただ、現場の実感として、在職中の活動が事前にバレて処分された…という話を、私はほとんど聞きません。 たいていは、退職を申し出る面談ではじめて会社が知ります。
- 本当に気をつけるのは、次の3つだけ。 ここは規則の面でも、自分を守る面でも、本当に大事なところです。
– ① 勤務時間中に転職活動をしない
– ② 会社のパソコン・メール・電話を使わない
– ③ 会社の機密情報・お客様の情報を持ち出さない
この3つさえ守っていれば、あとは過度に怖がる必要はない、というのが私の率直な実感です。順番に見ていきます。
そもそも、在職中の転職活動は「規則違反」なのか
ここは、いちばん気になるところですよね。少していねいに分けて考えます。
「法律」のレベルでは、禁止されていない
日本国憲法では「職業選択の自由」が認められています。どんな仕事に就くか、どの会社で働くかを自分で決められる、という考え方です。今の会社に勤めながら次の選択肢を探すこと——それ自体を禁じる法律は、ありません。
「会社の就業規則」のレベルでは、制限している会社もある
一方で、会社の就業規則は別の話です。会社によっては、服務規律のなかに「在職中の転職活動を禁止する」「許可なく他社への就職活動をしない」といった趣旨の一文を置いているところがあります。あなたの会社の規則にも、似た記載があるかもしれません。
では、その規則に書いてあったら、休日や終業後に自分の時間で次を探すことまで、本当に縛られるのか——。実はここは、法律の専門家のあいだでも見解が分かれるところで、「規則に書いてある=即アウト」とは言い切れないのが実際です。私生活の時間に何をするかを、会社がどこまで制限できるかは、簡単に決着のつく問題ではありません。
この「規則違反になるのか・処分は有効なのか」という踏み込んだ話は、別の記事(在職中の転職活動は規則違反?)であらためて整理します。気になる方は、まず自社の就業規則の「服務規律」の項目を一度のぞいてみてください。
> ポイント:引っかかるのは「転職活動をしたこと」そのものより、後で出てくる「勤務時間中にやった」「会社の設備を使った」という“やり方”の部分です。ここは規則でも、はっきりアウトになりやすいところです。
採用側から見て、会社は「気づいているのか」
結論から言うと、多くの場合、会社は在職中の転職活動に気づいていません。
くり返しになりますが、私は人事に近い立場で採用・面接に関わってきて、在職中の活動を会社が事前に察知して問題化した、というケースにほとんど出会っていません。多くは、本人が退職を申し出る面談で「転職します」と聞いて、はじめて知るのが実際です。
つまり、「もう応募しちゃったけど、もう会社に伝わっているかも…」と夜中に心配するほど、会社は社員の動きを見張ってはいない、ということです。とはいえ、「気づくとしたらどこからか」を知っておくと、よけいな不安が消えます。よくあるパターンを、ありのままお話しします(特定の誰かの話ではなく、いろいろな会社で“あるある”として起こりやすいパターンを一般化したものです)。
パターン①:転職サイト・SNSの「公開設定」から
いちばん現実的なのが、これです。
スカウト型の転職サービスに登録して職務経歴を公開すると、企業側の採用担当がその情報を見られる状態になります。会社によっては、自社の社員が登録していないか探していることもあります。
ただ、これは多くのサービスに「特定の会社には自分の情報を見せない(ブロックする)」機能が用意されています。登録するときに、今の勤務先や関連会社をブロック設定しておけば、このルートはかなり防げます。
SNSも同じです。プロフィールを「転職活動中」に変えたり、転職系のアカウントを本名・顔写真でフォローしたりすると、つながっている同僚に気づかれることがあります。アカウントの公開範囲を見直すだけで、ぐっと安心できます。
パターン②:「ふだんと違う様子」から
人は、制度や手続きよりも、「いつもと違う様子」で感づきます。私の実感でも、もし気づくとしたらここだろう、というポイントです。
- 急に有給の取得が増えた
- 髪を黒くした、ピアスやネイルをしなくなった(面接を意識した身だしなみの変化)
- ふだんと違う服装(面接用のスーツ)で出社・退社した
- 平日の日中に、席を外して長く電話している
こうした変化が重なると、「もしかして…」と感じる人は出てきます。とはいえ、これは無理に消す必要はありません。
特に有給休暇について補足すると、会社が「理由」を口実に取得そのものを拒むことは、基本的にできないとされています(有給は理由を問わず取れる権利です。ただし、繁忙期などに日程の調整をお願いされることはあります)。ですから、回数が少し増えること自体は、自分の仕事をきちんとこなしてさえいれば、問題になりにくいというのが私の考えです。身だしなみも、自分のタイミングで整えればいいことです。
👉 あわせて読みたい:有給の理由に嘘は必要? 言う義務と、断られたときの対処まで
パターン③:「人づて・うわさ」から
意外と多いのが、これです。仲のいい同僚にだけ話したつもりが、巡り巡って伝わってしまう。あるいは、応募先の会社が今の会社とつながりがあって、思わぬところで話が出る——。
完全には防げませんが、「正式に決まるまでは、社内では誰にも言わない」を徹底するだけで、リスクの多くは避けられます。
本当に気をつけるべき、3つの線引き
「気づかれる経路」よりも、私がずっと大事だと思っているのがこちらです。ここは、規則の面でも、自分の将来を守る面でも、はっきり守ってほしい3つの線引きです。
線引き①:勤務時間中に転職活動をしない
面接の連絡への返信、職務経歴書の作成、応募先とのやりとり——これらは、就業時間の外でやります。
多くの会社の就業規則には「勤務時間中は仕事に専念する」という趣旨のルール(職務専念義務)があります。勤務中にこっそり転職活動をしていたとなると、ここははっきり引っかかります。逆に言えば、自分の時間でやっているぶんには、堂々としていられます。
線引き②:会社のパソコン・メール・電話を使わない
これも鉄則です。会社のメールアドレスで応募先とやりとりしたり、会社のPCで職務経歴書を作ったりしないこと。
会社の設備は、業務のために貸与されているものです。私用、それも転職活動に使うのは、見つかったときに弁解が難しくなります。応募・連絡・書類作成は、すべて自分のスマホやパソコン、個人のメールアドレスで。これを徹底するだけで、後ろめたさはほとんど消えます。
線引き③:会社の機密情報・お客様の情報を持ち出さない
3つの中で、いちばん深刻なのがこれです。
「自分の実績をアピールしたいから」と、会社の資料・顧客リスト・社内データを面接に持ち込んだり、転職先に渡したりするのは、絶対にやめてください。これは「バレる・バレない」のレベルの話ではなく、損害賠償などの大きなトラブルにつながりかねない、本当に危険な一線です。
実績は、数字や情報そのものを持ち出さず、「自分が何を考え、どう動き、どんな結果につながったか」という“経験の語り”で伝えれば十分です。採用する側も、生のデータより、あなたの考え方や再現性のある動き方を知りたいと思っています。
それ以外は、堂々と準備していい
3つの線引きさえ守れば、あとは必要以上に身構えなくて大丈夫です。むしろ、在職中だからこそできる、落ち着いた準備があります。
- 情報収集は、終業後や休日に、自分の端末で。 どんな求人があるのか、自分の経験はどのくらい評価されるのか——「相場」をつかむだけでも、心の余裕が変わります。
- 有給休暇は、あなたの権利です。 面接のために半休や1日休むのは、まったく問題ありません。理由をこと細かに説明する義務も、基本的にはありません。
- 面接の日程は、なるべく休日・終業後・有給に寄せる。 これだけで「ふだんと違う様子」はぐっと自然になります。在職中であることを応募先に伝えれば、夕方以降やオンラインで調整してくれる会社も多いです。
在職中の転職活動は、収入が途切れない状態で、じっくり次を選べる——という、いちばん安全な進め方でもあります。焦って今の会社を辞めてから探すより、ずっと落ち着いて構えられる立場です。
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まとめ:ルールを知れば、堂々と準備していい
最後に、もう一度整理します。
- 在職中に次を探すこと自体を禁じる“法律”はない。ただし就業規則で制限している会社はある(だから不安になるのは当然)。
- でも現場の実感では、在職中の活動が事前にバレて処分された、という話はほとんど聞かない。多くは退職を申し出てはじめて会社が知る。気づかれるとしても入口は「公開設定・ふだんと違う様子・人づて」くらいで、どれも自分で対策できる。
- そのうえで、本当に守るべきはこの3つだけです——①勤務時間中にやらない ②会社の設備を使わない ③機密情報を持ち出さない。
この3つを守っていれば、転職活動は後ろめたいことでも、こそこそするものでもありません。ルールを正しく知って、堂々と、落ち着いて準備を進めてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 在職中の転職活動は違法ですか?
A. 在職中に次の仕事を探すこと自体を禁じる法律はありません。ただし、会社の就業規則で制限している場合があります。その規則が休日・終業後の活動までどこまで縛れるかは見解が分かれるところなので、まずは自社の就業規則を確認し、不安なら専門家に相談するのが安心です。
Q2. 会社にバレたら、解雇されたり処分されたりしますか?
A. 「在職中に転職活動をした」という事実だけを理由に、いきなり重い処分を受ける——というのは、一般には考えにくいことです。ただし、勤務時間中に行った・会社の設備を使った・機密情報を持ち出した、といった場合は話が別で、規則違反やトラブルの対象になり得ます。この3つは避けてください。
Q3. 社会保険や住民税の手続きから、会社に伝わりませんか?
A. これらが動くのは、実際に会社を移った“後”の事務手続きです。求人を見たり面接を受けたりしている「活動段階」では、社会保険や住民税をきっかけに今の会社へ何かが通知されることは、基本的にありません。気にしすぎなくて大丈夫です。
Q4. 面接のために有給休暇を使ってもいいですか?理由を聞かれませんか?
A. 有給休暇は理由を問わず取得できる権利です。取得理由を細かく説明する義務はなく、会社が「理由」を口実に取得そのものを拒むことも、基本的にはできないとされています(ただし、繁忙期などに日程の調整をお願いされることはあります)。自分の仕事をきちんとこなしていれば、回数が少し増えること自体は問題になりにくいです。
Q5. 在職中と退職後、どちらで活動するのが有利ですか?
A. 私は、収入が途切れない在職中のほうが落ち着いて選べると考えています。生活費の不安がない状態だと、焦って妥協しなくて済むからです。
参考にした公式情報
※この記事は、採用・面接に関わってきた一会社員としての経験と、公的機関の一般的な情報をもとに整理したものです。就業規則の内容や運用は会社によって異なり、個別の事情で結論が変わることもあります。判断に迷うときは、自社の就業規則を確認するか、必要に応じて専門家(社会保険労務士・弁護士など)にご相談ください。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。
学びはマネから。

